CF(固体内核反応)研究会設立趣意書

 本会は和名を「CF研究会」、英名を「Japan CF-research Society」、略称:JCF、と称します。CF研究とは、Condensed-matter(solid-state) Fusion, Coherently-induced Fusion, Cold Fusion, 等の意味での固体内核反応および関連する科学技術の研究を意味します。主に固体内特有の核現象の究明を行い、新エネルギーとしての新しい手法の開発を究極的にめざすものであります。
 科学技術の健全な発達のために学協会が果たす重要な役割をいまさら繰り返す必要はないと思います。CF研究に関する分野でも全く同じで、ここに学協会ができることが早くから関係者の関心事でした。それにも関わらず、今日まで「CF研究会(学会)」なるものが誕生しなかった主な理由は、まず第一にいわゆる常温核融合研究が広く既存の学界で認知されにくかった状況により、CF研究をメインジョブとして専攻する科学者・研究者が極めて少なかったことと、第二の理由としてCF研究の学際性のため関心のある研究者ならびに関連のある科学分野が多方面にわたっていることにあったと思います。
 近年、固体内核現象が凝集体(固体)物理的または化学的条件が結合して、例えばCoherently-induced Nuclear Fusionのような、新しい現象として生ずるとする多くの実験事実が報告されるようになりました。これは、従来知られているランダムプロセスとしての核反応と本質的に異なる形での固体内特有の核融合・核反応の存在を示唆するものであります。またこのことに関連した、物理、化学、材料工学、原子力工学面などからの多彩な研究が勃興しつつあります。このような状況により、CF研究は新しい学際・境界領域の研究として、多分野からの研究者が此の研究への参入を希望することとなっています。すなわち、ここに研究者の学術・技術交流を目的に学協会「CF研究会」を発足する意義は大きいと考えます。この「CF研究会」を日本のCF研究の学術的昂揚の場として、また此の分野での国際協力・交流の窓口として、意義あらしめたいと思います。CF研究会は任意団体として発足するのであります。

1999年4月1日